毎月、商業誌・ミニコミ誌などを多数、ご恵送頂いている。
その1つ、『WiLL』7月号を覗いた。
対談のラインナップが、読む気にさせる。
石原慎太郎東京都知事と新藤義孝衆議院議員の対談
「尖閣購入で問われる『日本人の覚悟』」、
原発推進派の東京工業大学原子炉工学研究所助教、澤田哲生氏と
反原発派の京都大学原子炉実験所助教、小出裕章氏の
「初の大激突!『原発・放射能』大バトル」、
ノンフィクション作家の佐野真一氏とコラムニストの北原みのり氏の「木嶋佳苗は『毒婦』なのか?」など。
石原・新藤対談は、尖閣諸島購入構想の背景や、これまでの政府、
外務省の対応ぶり、今後の見通しなどについて関心がある向きには、必読だろう。
この件に、石原氏の母親まで一枚噛んでいたとは、意外だった。
新藤氏の発言も重要だ。
「東京都は防衛力や安全保障能力を備えておらず、
外交権限を持つわけでもありません。
国が明確な利用方針を打ち出して、必要な事業を行わなければならない(これに石原氏は「全くだ」と応じている)」、
「都による尖閣購入は、中国側からみれば、尖閣問題にさらに踏み込む格好のきっかけを得たことにもなります」等々。
尖閣諸島の購入をめぐっては、堤堯氏と久保紘之氏の対談
「蒟蒻問答」でも取り上げている。
タイトルは「石原『尖閣購入計画』2つの問題点」。
このタイトルは久保氏の発言による。
久保氏曰く、
「やっぱりこの尖閣購入はあくまで国家を前面に立ててやるべき問題じゃないか」
「石原はあれだけアメリカを批判しておきながら…(尖閣購入計画の発表の)場をアメリカに求めた。
これは、アメリカの権威、秩序のもとに中国と領土を争うという構図になっている」と。
澤田・小出対談からも1ヵ所だけ。
澤田氏
「資源小国の日本こそが、原発による豊かな文化社会を世界に示すべきだ」
小出氏
「地下資源という意味でのエネルギー源をほとんど持たない日本が、
いまみたいにエネルギーを湯水のごとく使えると考えていること自体が異常」
『毒婦―木嶋佳苗100日裁判傍聴記』を書いた北原氏と、
『別海から来た女―木嶋佳苗 悪魔祓いの百日裁判』の著者の佐野氏に対談させているのも、面白い趣向だ。
北原氏は、私にとってはこれまで知らなかった人物。
でも、この対談では佐野氏より踏み込んで取材しているようだ。
女性のアダルトグッズショップ「ラブピースグラブ」代表という肩書きもお持ちらしい。
この種の雑誌はマンネリになりがち。
むしろ、その予定調和のマンネリに、安心感を覚えてしまう読者もいるのだろう。
編集者としては、舵取りが難しいところかも知れない。
私はマンネリを喜ぶ趣味と無縁ながら、今月の『WiLL』は、興味を惹く記事が多かった。
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